「鮎」と共に「歩」む木村水産

日本で初めて鮎の養殖

戦後間もない頃は難しいと言われていた琵琶湖産鮎の養殖に挑戦し、成功した企業が彦根にあった。戦前から琵琶湖の湖魚を商い、老舗「あゆの店 きむら」を経営する木村水産株式会社である。2代目会長、木村泰造さんにお話を伺った。

養殖に成功した琵琶湖産の鮎は全国の河川に放流され、彦根はここにしかない鮎の稚魚を求める人達で大変な賑わいを見せた。
しかし、そんな時代もあったものの現在では全国的に人工孵化に成功したことや、湖魚、焼き魚
の文化が陰りを見せ、販売数量も落ち込む時代に入ったとのこと。

他では味わえない産地だからこその味

そんな時代に負けないために、木村会長が取り組んだこととは……?
多くの「きむらの鮎」が築地の市場を通して、高級料理店で扱われている。
しかし、木村会長自身、あまり詳しくは知らなかった。
そこで取り組んだのが「きむらの鮎」は、どのように調理されているのか追跡調査をし、どのような調理法が「きむらの鮎」を一番美味しく食べる方法なのかを見つけ出すこと。
これが木村会長の課題になった。

佃煮・甘露煮・塩焼きはもちろん、天ぷら、珍しいところではフレンチのソースになっていたり、様々な調理方法と味に行きついていることがわかった。
その中でも特筆に値する味は「出汁」にある、と気づく。
「出汁」を研究し、「きむら」だからこそできる出汁の取り方と調理方法を試行錯誤し、たどりついたのが「あゆ雑炊」だった。
愛情込めて育てた鮎を贅沢に使い、出汁を取る調理法だ。

鮎の養殖場

鮎の加工場

江戸期の風情と「きむらの鮎」が味わえるお店

養殖場より車で移動すること5分。夢京橋キャッスルロードにある江戸期の店構え「あゆの店 きむら」に行けば、その「あゆ雑炊」を食することができる。
観光で賑わう通りで、彦根でしか食べられない食を味わえるお店である。

鮎の塩焼きと雑炊に合う小あゆ煮や地元で採れた椎茸の佃煮とのセットになった「あゆ雑炊膳」
をいただいた。
鮎の塩焼きは、まったく川魚の生臭さもなく、淡泊でほくほくして子供にもおいしく食べること
のできる味。
鉄鍋でいただく、あつあつの雑炊は、鮎の薫りやうまみが濃縮された大人の味わい。
創業以来こだわり続けている「小あゆ」も忘れてはならない。地元の醤油・酒を使った佃煮はあ
ゆ雑炊の味と良く合う。

あゆ雑炊

お昼の時間ともなれば、多くの中高年の夫婦でお店はいっぱいになる。
お隣の鰻のお店「源内」でも「きむら」の味が楽しめる。こちらもお昼どきには行列ができてし
まうので、少し早めのお昼をお奨めしたい。
 
現在、木村会長は、まだまだ湖魚と食文化について探究中。
未来の「きむらのあゆ」は、どんな味になっていくのか、進化する味が楽しみである。


あゆの店きむら

本店

滋賀県彦根市後三条町725
TEL:0749-22-1775
営業時間:9:00~19:00
定休日:火曜日

彦根京橋店

滋賀県彦根市本町2-1-5
TEL: 0749-24-1157
営業時間:夏期9:30~18:00/冬期9:30~17:30
(お食事時間 11:00~14:30)
定休日:火曜日

営業スケジュール、ランチの内容は10月1日以降のもの。

(市民ライター:目加田宗彦)

Date