彦根城を訪れるもう一つの楽しみ、ストレイキャット

今、ドラマや歴史ブームなど様々なメディアで熱い彦根城だが、たまには史跡を見上げる視線を少し下げて、足元を見てみるというのはどうだろうか。
というわけで、彦根城の縄張にひっそりと存在する知られざる魅力、ストレイキャット(野良猫)について探っていく。

夢京橋キャッスルロードから京橋を渡ると、まず最初に両手にそびえる石垣を目にすることだろう。
さらに進むと視界が開け、石垣の裏と家老西郷家屋敷跡の門が見えてくる。春になると石垣の上に植わった桜の木々が満開になり、花のトンネルを楽しむことができる。が、このたび紹介するのは季節を問わず気まぐれに現れる、ある一家のひとコマである。

ある日の午後5時ごろ、現れ出たるはしましま猫。迷いなく屋敷跡前を
足早に歩いていく。そしてその先には…

さらに2匹の野良猫が。どうやらこの猫たちは親子であるらしい。黒っぽいしましまが親猫で、ほか2匹はその子供と思われる。実はほかにもう1匹いるはずなのだが、この日は不在のようだ。ちなみに毛色は子供たちと同じ赤茶色と白なので、ぜひ探してみてほしい。

何をするでもなく決まってこの石垣に集まり、しばらくするとうっそうとした林の中へ消えていく。彼らがどこから来て、どこへ行くのか。その手の詮索は野暮であると思い、あえてここには記さない。
天守や太鼓門など、何かと階段や高低差の多い彦根城だが、そうした史跡巡りでの疲れをこの猫たちのかわいさで癒すのもいいかもしれない。雨の日など、出かけるにはおっくうになるときでも運が良ければ門の軒下で雨宿りをしている彼らに会えるだろう。
ただし、必ず毎日出会えるとは限らないので、あしからず。とくに台風の日の前後などはぱったりと姿を見かけなくなる。

と、ここまで彦根城に住む野良猫についてそのかわいさを紹介してきたが、忘れてはならないことがある。それは彦根城が国宝に指定されており、その周辺にも文化財指定を受けた歴史的な建造物が数多くあるということだ。

「建物の保存のことや、猫の爪等で建物に傷を付けないようにするためにも、猫は城の中に入れない方がいいのでは」という意見や「無秩序に数が増えてしまっては猫にとってもいいことではない」という意見も寄せられている。実際この猫たちは不妊手術などを受けていない、いわゆる地域猫ではない手つかずの野良猫なのである。ただただかわいがればいいというわけではない。今後この猫たちとどのように付き合っていくのか、私たち人間は考えなければならないだろう。

しかし、おたがい同じ地に住む者同士、これからもゆるーくお付き合いしていきたいものである。


彦根城

住所:〒522-0061滋賀県彦根市金亀町1-1
電話: 0749-22-2742

(市民ライター:増田素子)

Date