ウエイトレスは200歳!?彦根の老舗レストラン「フレーバー」

彦根に引っ越して来て30年近くになりますが、ずっと気になっていたレストランがあります。
昭和レトロな昔のレストランというイメージでどう見ても時代遅れ、それなのにいつもお客さんで賑わっているように見えるのです。気になって気になってしかたがなかったのですが、新参者の私には入りにくいまま月日が過ぎていました。

そのお店の名前は「フレーバー」。
彦根で生まれ育った人のお話では、「昔はよく行っていた」「メニューは家庭的な和食もあれば本格的な洋食のコースまである」「60代の自分が子供の頃おばあさんだった人が、今もウエイトレスをやっている」「おかみさんは200歳」などなど、聞けば聞くほど興味がわいてきます。
特にウエイトレスのおばあさんは何十年も見た目が変わらないことから、一部では“途中で入れ替わっている説”までありました。

200歳だと噂されるおかみさん、本当は何歳?もしかして私たちの気が付かない間に世代交代しているの?謎は深まるばかり。ぜひお会いしてみたいということで、ついにお店に伺ってきました。

お昼前にお店に入ると、200歳のおかみさんと思われる方は、お食事をされていました。
お食事を中断してお水を持ってきてくださり、「決まったら声かけてね」と優しい感じです。まわりにはおかみさんより少し若いおばあさんのウエイトレスさんが、テキパキと働いておられます。

いろんなことが気になりながらも注文をすると、またもやお食事を中断してもってきて「ゆっくりしていってや」と声をかけてくださいました。

ちなみに、私と友人が注文したメニューは「スパゲティハンバーグ」という山盛りのナポリタンに大きなハンバーグが乗っているものと、「ライスグラタン」という釜飯の釜に入った、掘っても掘っても底が見えないドリア。

スパゲティハンバーグ

ライスグラタン

メニューも珍しいものがたくさんあり、これだけでもう記事が書けるかもと思いつつ・・・。「お話を伺いたい」と申し入れると、「今はお昼時で忙しいから後で来て」ということで、ランチタイムの時間をずらして再度伺いました。

“200歳のおかみさん”と思っていた方は、馬場美智子さん。年齢は88歳。

おもわず(若いやん)と心の中で思いましたが、お顔やお姿はとても88歳には見えないほどお美しい素敵なマダムです。今でも、11時から20時までお店を切り盛りされているそうです。

フレーバーは、都ホテルの事務だったご主人が京都のレストランで修行をして、彦根に開業されたレストランです。昭和38年開業、今年で55年目。銀座本店と彦根商工会議所店があり、今回お伺いした銀座本店は、滋賀県全域に展開する老舗スーパー「平和堂」の創業者、夏原平八郎さんが平和堂を創業する前に靴店を営んでいた場所だそう。そんなエピソードからも、彦根の歴史を感じます。

美智子さんはもともと小学校の先生をしていたのを辞めて、ご主人と一緒にお店を切り盛りしてきたそうです。現在は、ご主人が亡くなられて息子さんがシェフとして後を継いでいらっしゃいます。

メニューは開業当時のまま。美智子さんのおすすめメニューは、「ステーキ」と「ビーフシチュー」だそうです。

美智子さんおすすめのビーフシチュー

特にビーフシチューは絶品!とのこと。お店の二階では宴会もできるので、鍋などの宴会料理も豊富。頼まれれば、多賀大社の参集殿に出前することもあるのだそうです。

お客さんは常連さんがほとんどで、しかも彦根市内だけでなく近郊から通ってくる方が多いと教えてもらいました。店内で特に目を引くのは、テーブルに飾られたお花。美智子さんに伺うと「私が毎日、活けてるのよ」とのこと。お花はお客様がもってきてくださるのだとか。そういえば、お昼のランチを食べに来たときに、おじさんがお花持って入ってきたのを見たな、思っていると、夕方の予約のお客様がお見えになりました。

「よく来てくれたね」と美智子さん。「今日ここに来るのを、楽しみにしていました。いつもありがとうございます」とお客様。そして「これ私が作ったので使ってください」とお客様が美智子さんにプレゼントを渡されていました。(あー。こうやってみんなに愛されているのだな)としみじみ感じながら美智子さんに、「元気の秘訣は」と尋ねると「毎日本を読むことかな」。「なんでこんなに長いこと働けるのですか」と最後に尋ねると「この仕事の大変さが分からなかったから、続けられたんやね」と笑顔で話されました。
彦根の老舗レストランは、何十年も通いたい大切な場所でした。


グリル フレーバー 銀座本店

滋賀県彦根市銀座町4-19
TEL:0749-22-2800
営業時間:11:00〜20:00
定休日:月曜日(祝日の場合は営業)

(市民ライター:川崎敦子)

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